辰屋ブログ
放射能測定の現場を取材してきました

前回の記事でもお伝えしましたとおり、辰屋では「安全」だけでなく「安心」もお届けしたいと考え、9月5日より「全頭検査済み」の神戸牛のみを取り扱っております。
神戸牛はこれまでのご説明のとおり、「汚染された飼料を使用していない」点や、また先祖代々が兵庫県産の但馬牛である点からしても、十分な安全性は確保されておりました。
しかしお客様に「安心」してご利用いただくために、「全頭検査」を行った個体の牛肉のみを出荷しております。
詳しくはこちら→辰屋の「安全+安心」宣言 ~辰屋の神戸牛は全頭検査済みです~

ただ、放射能の検査といっても、どのような検査を行っているかを知る必要があると考えた私たちは、
「全頭検査」を行っている団体の一つである「神戸中央畜産荷受株式会社」で、放射線測定の現場を取材して参りました。

神戸中央畜産荷受株式会社とは・・・

神戸ビーフは全てがセリを通して流通されますが、「神戸市中央卸売市場 西部市場」はそのセリが行われる卸売市場の一つです。
その中には以下のような施設があります。

・神戸市立食肉センター
牛・豚などをと畜・解体する施設

・ 神戸市食肉衛生検査所
食肉の衛生を検査・管理する施設

・ 神戸中央畜産荷受株式会社(以下、神戸中畜)
牛・豚などを全国の生産農家から集め、食肉センターで解体された枝肉のセリを運営・管理する施設

つまり西部市場から出荷される牛肉はすべて「神戸中畜」を通して流通されます。
その「神戸中畜」では8月末より全ての牛枝肉について、独自で放射性物質検査を実施しています。(→食肉通信8/30記事へ)

放射性物質検査の現場へ

神戸中畜のフロア内の一室が「放射性セシウム検査室」として利用されています。

セシウムは脂身ではなく筋肉に蓄積する性質があるそうで、赤身で採取しやすいネック部分の肉を用います。サイコロ状にカットしたものを約630g、タッパに詰めて準備完了です。

計測器はキャンベラ社製 NaIシンチレーションサーベイメーター SG-2Rを用いています。 計測は外界の放射線をできるだけ遮断するために鉛で作られた箱の中で行います。

※計測方法についての参考資料(pdf):
牛肉中の放射性セシウムスクリーニング法(厚生労働省)
緊急時における食品の放射能測定マニュアル(厚生労働省)
緊急時における食品中の放射性セシウム測定に用いるNaI(Tl)シンチレーションサーベイメータの機器校正(日本アイソトープ協会)

まずはバックグラウンド放射線量(環境中にもとより存在する放射線量)を計測します。(これは決してゼロにはなりません。宇宙線や天然の放射性物質などに起因します。)ここではタッパの中に水道水を入れたものを鉛製の箱の中に入れ、その放射線量を計測します。一定時間計測し、これを数回繰り返し、平均値を出します。その後、検体を1つずつ鉛製の箱の中に入れ、計測していきます。それぞれ3回ずつ計測し、その平均値を出します。


この時に測定される単位は「CPS」、Count Per Second、つまり一秒間あたりの放射線のカウント数です。計測器が1秒間に感知した放射線の数を表します。牛肉検体の平均値を測定する際は、そもそもバックグラウンドに存在する放射線も計測してしまいますので、牛肉のCPS値からバックグラウンドのCPS値を減じて換算します。

CPSをBq/kg(1キログラムあたりのベクレル値)に変換するには、CPSの値に対し、各計測器に定められた固有の換算係数を掛けます。式は以下のとおりとなります。

牛肉のBq/kg値 =(牛肉の計測の平均CPS値ーバックグラウンドの平均CPS値)×  換算係数
(詳しくは牛肉中の放射性セシウムスクリーニング法のp.8を参照)

最終的な計算結果が250Bq/kg(国の暫定基準値は500Bq/kg)を超えた場合、より高精度の精密検査を行うことになっており、基準を満たした牛肉のみが流通する仕組みとなっております。

見解・雑感

私たちが取材した日の数値としては、ほとんどの検体がマイナスの値を示しており、バックグラウンドの放射線よりも低い=数値が低すぎて検出不可、という状況でした。

さて、この放射性物質検査は、神戸中畜が自社のコストを掛けて必要機器を購入し検査しているとのことでした。測定機器も決して安くはなく、また品薄で簡単には手に入らない状態のようで、鉛のシールドボックスについては全く在庫が無く、独自で制作したとのことです。検査自体も1頭につき計測だけでも3~5分ほど費やし、そのための人員を配備して行っている状態です。

セシウム汚染牛の問題が取り沙汰されて以来、本来であれば放射性物質検査を兵庫県が行うべきではないかという声が多数上がっておりました。ただ兵庫県の見解としては、県内ではセシウムに汚染された稲わらを使用していないことや、特に神戸ビーフについては先祖代々が「兵庫県産但馬牛」に限定されるという点で、状況的に安全性は確保されており全頭検査の必要性は無しというものでした。そして辰屋は兵庫県やJAの見解を踏まえて、当ブログの記事でいち早く神戸牛の安全性についてご説明させて頂きました。

しかしそのような安全性だけではなく、「検査済み」という「安心」を消費者にお届けできるよう、精肉業界としても放射性物質検査を強く要望し続けておりました。そういった流れの中で、神戸中畜は「消費者の不安に対応し、生産農家や買参者からの強い要望を受け」8月23日販売分より検査を開始した次第です。

見る限り、「全頭検査」というだけあって1頭ずつに検査の時間がかかり、機器だけでなく人員面でのコストも結構大きな負担になっている現状があります。なかなか全ての取扱業者が全頭検査を導入することは難しいのではないかと思いました。

全国に神戸牛をお届けしている当店としては、どれだけ神戸牛が「安全」であっても、お客様の不安を解消することが最も大切だと考えています。現に検査を行っていない神戸牛も流通する中、当店では「検査済み」という大きな「安心」をお届けするべく、9月5日出荷分より「全頭検査済」の神戸牛のみを仕入れ、販売しております。

今後も辰屋の神戸牛を安心してご購入いただけるよう、最新の動向を常に注視しながら「安心への取り組み」を続けて参りたいと考えております。

神戸元町辰屋 店主 辰巳真一

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