狂牛病について

平成13年10月9日
更新日 10月13日

平成13年9月10日に千葉県において狂牛病に感染した乳牛が確認されたことはご周知のことと思います。
狂牛病は正しく対応がとられれば、食肉となることもなく人への危険も起こり得ませんのでしばらく静観をしてまいりましたが、日に日に様々な情報が流れ、皆様不安を感じておられると思います。
神戸ビーフを特産品の一つとする兵庫県、神戸市の職員の方々をはじめ、肥育農家、食肉処理場、食肉販売店、それぞれの立場で皆様の不安を少しでも取り除くためよりいっそうの態勢を整えております。
微力ではございますが、当店でも正しい情報を提供していきたいと思います。
今後も情報収集に努め、新しい情報が入り次第掲載していきますので、「正しい情報が欲しい」「安心してお肉が食べたい」と思っておられる方のご参考になればと思います。

目次
1.まず知って頂きたい事
2.神戸ビーフは大丈夫? 
3.狂牛病とはどういうものか
4.人体への影響
5.なぜ肉骨粉が作られるようになったのか
6.日本における対応 
7.10月11日類似家畜の牛が発生したことについて 

1.まず知って頂きたい事

■一般に「肉」と呼ばれる「精肉」や「牛乳」「乳製品」また「豚」「鶏」は安全です。

■狂牛病に感染した牛の食べてはいけない部位

脳・脊髄・網膜(目の膜)・回腸遠以部(小腸の最期の部分)
*上記部位にのみ感染源となる伝達因子(プリオン)が認められています。その他の部位には伝達因子は認められておらず、たとえ感染した牛のものであっても安全と言われています。実際には感染が確認された牛は焼却処分することになっており(今回国内で狂牛病が発見されたことにより確実に義務付けられました。)感染した牛のどの部位も市場に出ることはありません。

■食べることにより感染し、空気感染や触れることによる接触感染はしません。

■輸入牛については、アメリカ産・オーストラリア産(オージービーフ)・ニュージーランド産はEUで安全と認められております。

2.神戸ビーフは大丈夫? 

             

■神戸ビーフとなる兵庫県の和牛は、生まれた時に一頭一頭鼻紋をとり、何代にも渡り戸籍を残していきます。餌も何歳の時に何を与えたか記録を残し厳正に管理されており、問題となっている肉骨粉等は配合されていません。神戸ビーフをはじめ特定銘柄牛は『味は餌で決まりさし(霜降)は血統で決まる』と言われ、各肥育農家ごとに企業秘密と言われるほど与える餌には気を遣われています。大豆や小麦を自分のところで煮たりして独自の餌を与え、こうして熟練した肥育農家に愛情を込めて育て上げられています。
(全国の銘柄牛も同様に一頭一頭戸籍が作れらています。)

■衛生的にも管理された食肉処理場で、処理前に食肉検査員が厳正に検査し、病気の牛、病気の疑いのある牛は食肉にはなりません。食肉処理された後も、食肉衛生検査センターの検査員が厳正に検査したもの以外は提供されません。

■平成13年9月26日に、兵庫県内の全ての肥育農家に立ち入り調査を実施し、肥育されている牛全てに(乳牛・肉用牛いずれも)検査済みであり、狂牛病の症状が見られる牛は確認されなかったとの報告を受けております。

■神戸ビーフ(神戸肉、神戸牛、いずれも呼び名の定義はなく同じものです。)はそもそも「精肉」となってから全国共通の規格によりランク付けし、その中で定められた規定以上のものを指しますので厳密に言うと「内臓」「頭」等は含みません。(それでも「神戸ビーフのツラミ(頬肉)」等が売られているのは、神戸ビーフと認定された牛のツラミであるからでしょう。)ですからたとえ狂牛病に感染した牛であっても、感染原因である伝達因子が含まれる神戸ビーフとは存在しませんし、感染が確認された牛はすべて焼却処分されるため食肉として市場に出ることはありません。

■10月18日以降、全国で全頭あるいは30ヶ月以上の牛全てにプリオン検査を導入する予定となりましたが、当店でも他の神戸ビーフを販売するお肉屋さんと共に、たとえ国が30ヶ月以上のみに決定しても、神戸屠場だけでも全頭検査し、完全に安全宣言ができるよう陳情中です。

■神戸市場では、生産者に対して独自に作製した「肉牛出荷肥育農家証明」の提出を求め、それに基づき購買者に「肉牛枝肉購買証明書」を交付することになりました。
 「肉牛出荷肥育農家証明」に記載される事項
  ・出荷牛の品種、性別、生年月日
  ・肥育農家の住所、電話番号(消費者からの問い合わせに対応するため)
  ・飼料関係データ:飼料工場の所在地・電話番号・与えている飼料の成分量、原材料名
             肉骨粉の使用をしていない旨の証明
  ・肥育農家が所属する農協あるいは出荷団体の責任者の認印
 「肉牛枝肉購買証明書」に記載される事項
  ・上記肥育証明をもとに、給与飼料の安全性に加え、市場での生体・枝肉検査の結果を付記。

3.狂牛病とはどういうものか  

             

*「国際獣疫事務局(OIE)」のレポートと厚生労働省の資料をもとに作成しています。

■狂牛病とは、牛海綿状脳症(Bovine spongiform encephalopathy)といい、通常海外ではBSEと呼ばれています。その症状から狂牛病として新聞等で報じられ一般に知られています。(以下BSEと呼んで説明します。)

■BSEは長い潜伏期間(2年~8年)を経て発症し、脳の組織にスポンジ状の変化を起こし、必ず死に至る牛の神経性疾患です。約2歳齢の牛が稀に発症することがありますが、大多数は4~5歳齢の成牛に発生します。(30ヶ月齢以下での発症はほとんどありません。)

■症状は、生体のままでは発症するまでの診断方法はなく発症すると体力の減退、体重の減少、搾乳量の減少、神経的諸症状が現れ、歩行失調も見られることがあり、運動失調の悪化や全身的な衰弱を起こして倒れたり、横転したりする場合もあります。発症後死亡するまでの経過日数は2~3週間から1年間とまちまちです。

■最初、1985年にイギリスで発生が確認されました。経口感染により(食べることにより)感染し、接触感染は起こさないことが研究の結果認められています。

■病原体はプリオン(prion)と呼ばれる異常な蛋白粒子で、通常のウイルスの定義にはあてはまらず、一般のウイルスのような病原体の大量放出や細胞病変は見られません。このことや潜伏期間が長いことが実験・研究に時間を要し未だ解明されていない要因になっています。
もともと正常なプリオン蛋白は脳等の神経細胞の膜に多く含まれていますが、病原性を有する異常なプリオンが入ると正常なプリオンに接触して次々に変性してしまう性質を持っています。

■発病のメカニズムはいろいろな説がありますが、一般的に異常なプリオンが正常なプリオンを次々に変性し細胞を殺してしまい大きな空砲を形成すると言われています。そして血清反応による診断方法はありません。
BSEのプリオンは物理的科学的処理に対して強い耐性をもち、細菌や一般のウイルスを死滅させる温度や煮沸では殆ど死滅しません。OIEの基準では「組織の大きさを5cm以下にしたものを133℃以上、3気圧で20分以上の高圧滅菌が必要である」とされています。

■感染源とされる肉骨粉については、BSEと極めて似た病気であるスクレイピーと呼ばれる羊のプリオンが含まれた肉骨粉が牛の飼料ととして使われたことが原因とされています。

■BSEと羊のスクレイピーはどちらもプリオンによって起こりますが、同じ病原体ではなく2つのプリオンは似て非なるものです。BSEの病原体は羊のスクレイピーの病原体と比較して病変の出方の度合いが極めて安定している事などから別の病原体であるとされています。また、羊のスクレイピーは人間には感染しません。

4.人体への影響

               

■残念ながら、研究の結果BSEは人に感染することが次第に明らかになってきています。病名は新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と呼ばれています。以前からあったクロイツフェルト・ヤコブ病はBSEによるものとは証明されず、その為当初は「人には感染しない」とされてきました。研究が進むことにより、BSEによるものと考えられる新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と以前からあったクロイツフェルト・ヤコブ病との違いが明らかになってきました。

■理由(BSEによるものではないかと疑われる10人の患者の調査結果)
・通常のクロイツフェルト・ヤコブ病の平均年齢は65歳であるが、新型は16歳~36歳と異常に若い。(10人中3人は10代後半・5人が20代・2人が30代)
・通常のものに見られる脳波の型が新型には見られなかった。
・10人の発症後の生存期間は平均13ヶ月で通常のものは平均6ヶ月。
・患者はいずれも脳に海綿状の症変が見られ、死亡した人の解剖ではプリオン蛋白の大きなプラックと呼ばれる形成が見られた。(通常のものの患者の脳と異なる病変)

■また、その後の研究でもBSEの牛と新型ヤコブ病の人、双方の病変部をマウスに感染させた場合の経過がほとんど同じという発表もされています。

■人への感染は確実と言えますが、BSEにより感染した人(現在までで百数名)は全てヨーロッパの人であり、BSEが発見される前から、また人への危険性がわかるまでの間も肉と同様に脳や脊髄などの危険部位を知らずに食べ続けていました。日本では食文化も違い脳などを食べる習慣はあまり無く、すでにBSEという人に感染する怖れのある病気が存在することもわかっています。日本でもBSEに感染した牛は焼却処分することが義務付けられております。今回当該牛が肉骨粉となったのは認識の甘さからであり残念でなりません。ですがこのことにより今まで以上に規制が厳しくなり、危険とされる部位はもとより原因となる伝達因子が含まれた食品が出回らない態勢をより徹底されようとしています。

5.なぜ肉骨粉が作られるようになったのか

          

■これについては明確な文献を見つけていないので当店での見解ですが(正しくない部分がありましたら、ご指摘ください。)、もともとずっと以前から屠場(とじょう)で売り物にならない部分をそのままではかさばる事や、衛生上の問題から焼却処分をしていました。日本でも昔は屠場の横には焼却炉がだいたいどこにもあったものです。昔は焼却後、廃棄されていましたが、そこにはカルシウム、蛋白などの栄養素が多く含まれること、捨てずに利用した方がリサイクルになりお金にもなることから、飼料・肥料等に使用されるようになりました。

■1985年以降、突然狂牛病とされる牛が発見され始めたのは、70年代の石油ショックが遠因とされています。それまでは肉骨粉は充分に加熱されており、病原体とされるプリオンもある程度は死滅していましたが、70年代後半に燃料を節約するため作り方が変わり加熱時間が短くなっています。
(10月1日日本経済新聞25化学13版山内一也東京大学名誉教授(日本生物学研究所理事、ウイルス学)の記事より抜粋)

■現在では乾熱に強いプリオンも、何気圧で何度以上、何分高圧滅菌すると死滅するかはわかっており、安全な肉骨粉を飼料・肥料として作る事は可能であるだろうが、狂牛病はもともと草食の牛に人が無理やり肉食を与えた人為的なものであると言えるため、(軽々しい発言かもしれませんが)今後は使用しない方がいいと当店では認識しています。

6.日本における対応

               

■8月6日千葉県下の酪農家で飼育されていた乳用牛1頭(ホルスタイン種・雌・5歳)が食肉処理場でと蓄されたが、起立不全を呈していたため脳を採取し検査を実施。(*当該牛は食肉にはなっていない。)

■8月15日、陰性が確認され通常の病性鑑定対象として処理することとしたが、病理組織学的検査で脳の組織に空胞を認めたため、念のために免疫組織化学的検査を実施することに。

■9月10日免疫組織化学的検査の結果、陽性の反応を得、この牛の材料・国内の検査結果を国際リファレンス研究所である英国獣医研究所に送付。

■9月10日農林水産省にBSE対策本部を設置。

・当該牛の導入先・給与飼料状況等の調査を実施。

・9月12日~25日に独立行政法人肥飼料検査所が牛を対象とする飼料を製造する全ての配合飼料工場に緊急立入検査を実施。

・9月12日~30日に都道府県畜産担当部局に国内で飼養されている全ての乳用牛・肉用牛に調査を実施するよう要請。

■9月21日英国獣医研究所から今回のBSEの類似患蓄は牛海綿状脳症と診断する検査結果が届く。

■10月2日までに判明した牛海綿状脳症の類似患蓄等の検査結果は全て陰性が確認される。

■10月4日以降全ての国からの肉骨粉等の輸入を一時停止するとともに、国内産を含めた飼料用・肥料用の肉骨粉及び肉骨粉等を含む飼料・肥料の製造及び販売の一時停止の要請を行う。

■10月18日以降、食肉処理場において全頭にBSE検査を導入する。

7.10月11日擬似患蓄の牛が発生したことについて

   

■10月10日に東京都中央卸売市場食肉市場においてと蓄解体した303頭のうち26頭について、11日厚生労働省が検査を実施したところBSEが疑われる牛が1頭発見されました。この検査は18日から予定されている全頭検査に先立ち実習として実施されたものであるが、その後の精密検査により陰性となりました。

■18日からの検査は信頼できるのか?
18日から導入予定の検査はELISA法というスクリーニング検査であり、この検査は陽性を陰性と誤診することはありませんが陰性を陽性と誤診する確立は3%と言われています。まずこの検査により陽性を疑うものを抽出し、ひっかかったものをより確実な検査で調べる体制となっています。ですから今後全頭検査が始まり、今回のようにBSEを疑う牛はある程度出てくるのではと思いますが、その後確実に検査され、ひっかかった牛の個体判別の体制も整えられているため、確実に感染した牛が市場に出ることはなくなると言い切っていいというのが当店での見解です。

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